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FASHION 360 MAGAZINE(ファッション360マガジン)URL
⇒https://fashion360mag.com/nail-art-an-interview-with-yukie-natori/
名取校長のインタビュー記事内容の日本語訳は下記となります。
①私がサロン/スパを経営したいと思った理由
・自分の理想のサロンを作ってみたい
・自分のトリートメント技術やアイデアを事業化してみたい
・人生の中で大きなことに挑戦して、自分を試してみたい
・ビジネスそのものや、経営に対する興味があった。
・自分が好きなように自由に仕事がしたい
・人の笑顔を見るのが好き
常に新しい事、美しいと思える事に興味を持つのがとても好きです。
スパの経営は、これらの希望を全て叶えてくれる、素晴らしい仕事だと確信しています。
②日本のジェルアートとその伝統について教えてください。
日本のネイルの発祥は遠い昔の貴族の文化でした。
近代になり、アメリカから現代のネイル文化が伝わって来たのは30年前ほどになります。
アメリカのアスリート、フローレンス.ジョイナーが1988年のオリンピックのときに、
長く伸ばしたネイルに鮮やかなネイルデザインをつけ走り抜ける姿
を見た時には日本人の誰もが衝撃を受けました!
日本のネイル文化の発展を語る上で、
日本最大のネイル団体「Japan Nail Association 」の存在が欠かせません。(以下JNA)
JNAは、日本におけるネイル技術の発展の為に、
約10段階に及ぶ高難度の技術検定制度を普及させ、
JNA認定校制度、JNA認定サロン制度を作りました。
アメリカのライセンス制度では、ネイリストは1度の試験だけで就業ができますが、
日本では、ネイルケアの試験(合格率40%)から始まり、
イクステンションの試験(合格率30%)を経て、
ジェルネイルの試験を受けてから、初めてプロネイリストとして認められます。
トータルの技術学習時間は約400~500時間にも及びます。
私自身もJNA常任本部認定講師の肩書を持ち、
JNA認定校を20年間経営し、検定試験の運営をしています。
この検定試験の制度のおかげで、日本人のネイル技術は飛躍的に発展し、
世界のネイルコンテストの上位に日本人ネイリストが名を連ねるようになりました。
JNAによる技術検定試験は、今では中国、アジア諸国のネイリストが訪日して受験をするほど
人気の資格になっており、アジア圏において、JNAの資格を取得しているネイリストは
高収入を得られるようです。
日本にジェルネイルが普及し始めたのは約15年前程。
ジェルネイルは、ポリッシュのように乾かすのではなく、
爪の上でジェルを硬化させ、三週間~一か月ほども定着しているので、
忙しい現代女性とマッチし、日本では爆発的に広がりました。
現在、日本のネイルサロンでは、約90%の需要がジェルネイル及びデザインのメニューです。
今では、このJNA試験をパスした技術力のある日本のネイリストたちによって、様
々な繊細なネイルデザインが生み出されています。
約15年前:長いアクリルネイルに、3Dアートや本物のスワロフスキークリスタルを使用したデコレイティブなデザインが流行した。
デザインの価格は300ドル以上かかるものだったが、お洒落な年代を中心に流行をした。
約14年前から、ソークオフが出来るカルジェルが出現し、
時代は徐々にジェルネイルに変換していく。
ジェルネイルはデザインの種類が豊富で、同時に、様々なネイルデザインのパーツが作られ始めた。
③.あなたは人々が愛する署名デザインを持っていますか? それとも本当に人気のあるスタイルはありますか?
現在流行っているネイルは「ニュアンスネイル」。
強い色を出さずに、微妙な差異や色合いを楽しむネイルデザインのことです。
それぞれのお客様の雰囲気に合った数種類のニュアンスカラーを選び、
ふんわりとした優しいベースのイメージを作り、
ポイントでスワロフスキークリスタルやスタッツなどを配置します。
様々な色の大理石のような、自然に近いデザインも人気です。
④. HNYでの人々の経験を特別にするものは何ですか?
特別な技術力+特別な製品+人をもてなす心です。
OMOTENASHI
当サロンでは、純日本産の、化粧品登録をされたプロダクツを使用しています。
日本のジェルの商品登録はとても厳しく、
肌に対して良くない影響がある商品は登録をすることが出来ません。
日本のジェルネイルは、アメリカ国内で普及をしている「ジェルポリッシュ」ではなく、
特別に作られた製品です。
より濃度の濃い、より密着度の高い、よりカラーの鮮明な特別なジェルネイルを使用しています。 このタイプのジェルネイルの扱い方法には、特別な技術力が必要になるため、
プロのネイルアーティストも十分なトレーニングを積む必要があります。
このジェルネイルの商品を使うことにより、お客様は多くのカラーの選択をすることができ
(当サロンでは、700色~800色のカラーチャートから選ぶことが可能です)ジェルのもちが良く、多くのデザインを楽しむことができます。
私のサロンでは、資格はもちろんの事、高度な技術を持ったスタッフ、
自分自身の技術に対して自信を持っているスタッフを雇用しています。
彼らは、どんなに仕事で疲れていても、
週に1回の「勉強会」をしています。私も指導にあたります。
上手くいかなかった事やクレームを検証し、
次に向かって勉強と練習を欠かさない。失敗は絶対に繰り返さない。
新しいデザインを生み出すために、また、新しいプロダクトをどのように使いこなし、
自分のものにしていくかをいつも研究しています。
常に自分自身の技術のスキルアップをしている、素晴らしいスタッフに恵まれています。
サービス面では、クライアントがサロンに入った瞬間から、サロンを後にするまで、
常にお客様にとって何が心地よいかを、常に相手の心の中を考えて行動することをスタッフに教えています。
どの人にも同じサービスではなく、
「どうしたらその方に喜んでいただけるか、満足感を感じていただけるか」
を常に考えて行うことが大事です。
表裏の無い、対価を求めない「心」で接すると、お
客様の五感と心に感動が生まれると信じています。
この重要な3点の要素がお客様にとって、特別な体験を生み出しているのだと思います。
(サロンではサービスでワインをご提供しているのですが、それも一つの要因かも;)
⑤美容コンサルタントになった理由は何ですか。
私が長く美容業界と教育に携わってきたことに起因します。
私は、美容の仕事を始めてから25年間、ヘアスタイリスト、ネイルアーティスト、アロマセラピスト、マッサージセラピスト、カラーコーディネーターの仕事をしてきました。
ひとつの仕事を極めていくと、必ず他の美容の仕事と繋がります。
点はいつかは線になり、全てが繋がっていきます。
そんな数多くの経験から、多くの人からアドバイスを求められるようになり、
コンサルタントという立場になっていった、という方が正しいかも知れません。
⑥NYと日本のクライアントはどう違いますか、それらはどのように似ていますか?
NYのお客様は、One and Only を求めます。
自分に合う正確な爪のシェイプスタイル、長さなどにとてもこだわりを持っています。
それは私たちプロのアーティストにとって、自分の力を試されるためとてもやりがいがあります。好き、嫌いもはっきりと言っていただける。
気に入っていただけたら、思いっきり承認をしてくれることも、私たちにとっては心地よく、嬉しいことです。
デザインの好みはシンプルながらモダンなスタイル。そ
して、爪や肌の健康に対する意識がとても高いと思います。
NYのお客様は忙しい方が多いので、私たちも技術をスピーディーに仕上げる事を心がけています。
ネイルサロンは、NYのお客様にとってはとても気軽に足を運ぶカフェのような役割をしている事も最初は驚きました(日本ではネイルサロンはまだ特別なサービスとして捉えられているので)友人同士やご家族で来店し、ゆっくりと時間を楽しむ方もとても多く、とても素敵な習慣だと思います。
日本のクライアントは、流行や周りとの協調を求める傾向が強いと思います。
美容も、ファッションも、流行しているから自分もやらなきゃ、という気持ちが強くあります。
新しいものは一度は試さないと気が済まないのかも知れません。
デザインの好みは、「Kawaii」もの、キラキラしているスタイルがとても好きですが、
「自分で決めるのではなく、ネイリストに決めてもらう」スタンスが多いです。
アイデンティティーの違いもあるのかも知れません。
⑦あなたはNYFWの間にいくつかのファッションショーに取り組んだ。
A)どのようにしてそれに入りましたか?
今年のショーは11のブランドを担当しました。
私たちがショーの仕事をすることになったきっかけは、私が10年前にサロンをオープンし、
日本式のジェルアートを始めた際、「Snakeskin nail]が雑誌やTVに取り上げられたことです。ファッション関係者の目に留まり、撮影やショーの依頼が来るようになりました。
そうした中、とても素敵なプロモーターの方々と出会い、
一年ごとにショーの依頼が多くなりました。
私たちは多くのアーティストを所属させていますので、
どんな要望にもフレキシブルに応えることが出来ることも理由のひとつでしょう。
b)ショーの制作過程は?
ショーの数か月前から、デザイナーからネイルインスピレーションが送られてきます。
それは、既に出来上がった服ではなく、デッサン画、生地の写真、絵画、
ショー自体のイメージ写真などです。
その中から、私たちのアーティストと話し合い、
ネイルのデッサン画やサンプルのネイルチップを沢山作成します。
例えば、「ブラウン」と一言だけが送られて来た場合でも、私たちは数10種類のブラウンの
カラー、出来るだけ質の良いカラーブランドを選んでサンプルを作ります。
私のお気に入りはCHANELのカラー。
今回は、Laquan Smithと、Hakan Akkayaのショーで、CHANELのカラーポリッシュを使用しました。
最終的なデザインが決まるのはショーの1週間~前夜に及ぶこともあります。
ショーの期間中は徹夜でネイルチップを40人、50人分を仕上げる事も多くあります。
私たちは全く苦労とは感じません。
デザイナーの最高の舞台を彩るネイルに対して、私たちは決して妥協をすることはありません。
バックステージでは、ヘアメイクと同時にネイルの施術を行います。
多くのショーをこなしているモデルの爪が荒れていたら、綺麗にキューティクルケアをし、
カラーを施し、緊張をほぐすためにマッサージをします。
モデルがランウェイに出る瞬間まで、ネイルにダメージが無いか、
ネイルチップが外れていないか、肌に艶は出ているかなど、
詳細に気を付けてモデルを送り出します。
⑧あなたの好きなショーは何ですか?
Laquan Smithのショーは5年前から担当しています。
様々なプレゼンテーションの場を経て、
今回はメインのSpring Studioでのランウェイショーでした。
彼はネイルにとてもこだわり、何度も何度もデザインのやり取りを行います。
私たちにとって、ネイルデザインが彼のファッション感覚に対して
これほどまでに必要とされているという実感がわく、とても素敵なショーです。
シェイプ、長さ、色、デザイン。
彼は最終的に最高のものを私たちから引き出す天才です!
Greta:ショーの前日の夜半までデザイン出しを行い、チップの作成をしました。
当日のバックステージでモデルの洋服と合わせたとき、いくつかの変更がありました。
カラーを買いに走り、最終的に仕上げたデザインは、Gretaのショーにはこのデザインしかない!と思えるような素晴らしい作品になりました。一番達成感があったショーでした。
私は、ネイルデザインはファッションの一部と考えています。
指先の小さな10個の面積に広がるネイルデザイン。
指先は目立たないと考えがちですが、モデルがランウェイを歩き、カメラに収まるとき、
様々なポーズを作るときにとても目立つのが指先です。
ファッションショーでは、小さな爪の先まで完璧に(例え、ヌーディーなカラーであったとしても)仕上げると、まさに頭の先から指先までの完璧なファッションのスタイルが出来上がると信じています。
何よりも、私たちネイルアーティストがネイルデザインを作り出すときは、
デザイナーが作り出すモード からインスピレーションを得ることが大半です。
色やデザインだけでなく、生地の質感や光の加減など。
小さな10のキャンパスに、沢山のテクニックを用いて
どのようにしてモードを取り入れていくか、どのように表現をしていくか。
それらを考えているとき、私たちネイルアーティストは一番の幸せを感じる瞬間です。
以上 翻訳:名取由稀江